ラタンスタイルとは

1997年、タイのバンコクを訪れていた私たちはサトーン通りの南、ソイプラピニットを散策していた時に偶然見つけたラタン製品を扱う小さなショールームの前で足を止めました。私たちは当時初めて目にするそのシンプルで洗練された美しさにたちまち魅了され、日本のインテリア市場にいち早く紹介しました。
ラタンスタイルの製品はヨーロッパやアメリカのインテリア市場を中心に製品を作るミャンマーのメーカーから直輸入しています。ラタン製品は大量生産される工業製品とは違い、ひとつひとつハンドメイドであるがゆえに同じ商品でも作り手の技術の習熟度によってその完成度にどうしても個体差が生じます。ラタンスタイルの製品は輸入後日本の市場に送り出される前に、日本人スタッフの厳しいチェックを経て、少しでも不備のあるものは更に手作業で加工され、必要に応じて修復されています。この時点でラタンスタイルの製品は、ヨーロッパ市場向けのものよりも均質化された良質なラタンに姿を変えているといっても過言ではありません。
ラタンスタイルの製品はインテリアの和洋を問いません。それは私たちの製品がミャンマーという言わばアジアの中心に位置する国で作られながら、もともと西欧で求められたデザインのものを供給してきたからに他なりません。大航海時代に始まる西欧とアジアの出会い、その後の植民地支配という歴史の荒波のなかでラタンという素材は広く西欧に紹介され、その特徴を知り尽くした数多のデザイナーによって洗練されたデザインを与えられ人々の暮らしのなかに浸透していきました。英語やイタリア語ではラタンのことをマラッカ(malacca)と言いますが、それは東南アジア各地で産出されたラタンの多くが当時の海峡植民地であり中継貿易の拠点だったマレーシアのマラッカを経由してヨーロッパにもたらされたことによるものです。ステッキや傘の柄に使われるマラッカはラタンの最高級品として知られています。一方でラタンは日本では「籐」と呼ばれ、竹と同じく優れてアジア的な素材として認知されており、古くから籠など生活の道具を作るための素材として日本人の暮らしのなかに息づいてきました。ラタン製品が洋の東西を問わず広く世界中で使われているのはごく自然なことなのです。
2001年に
「ザ・ショップハウス」をオープンし、東南アジアの各地から個性的なオブジェやアートを買い付け、ラタンとコーディネートしていくなかで私たちは常に新しいスタイルを提案し続けてきました。皮革、シルバー、陶磁器、織物に至るまで、コーディネートのパートナーがどんな素材であっても、それらと合わせることで実用品としてのラタンの可能性もより一層広がりました。まだまだ日本では「ラタン=夏」という固定観念が支配的ですが、西欧においてラタンは夏のインテリアに欠かせない素材であることはもちろん、冬においてもその温かみのある素材感や風合いが好まれています。ラタンスタイルでは従来のイメージを払拭させるようなオールイヤーラウンドの新しいラタンを皆様にご紹介したいと考えています。

高倉 達哉(ラタンスタイル代表)
福岡出身。大学卒業後上京し、インテリアデザイナー森田正樹氏(DESIGN-M)に師事。商業空間のデザインを手がける。この頃、第一回東京デザイナーズウィークの「新世代の家具展」に新人デザイナーとして出品する機会にも恵まれ、自らデザインしたソファーと椅子を出品、多くの若手インテリアデザイナーと出会う。
後に岩倉榮利氏が主宰する岩倉造形開発研究所に勤務し、同氏の下で家具を中心としたプロダクトデザインを顧問契約を結ぶ企業に提供する仕事に従事。家具についての知見の多くはこの時期に獲得した。
続いて当時下北沢にあったインドネシアの家具を日本に紹介するパイオニア的な存在であったHIKKADUWA(ヒッカドゥワ)に勤務。家具の販売や修理・配達などの実務経験は、のちにインドネシアのアンティーク家具の輸入卸業にて起業する際に大きな助けとなった。
やがてインドネシアのアンティーク家具以外にも取り扱い商品を増やす必要に迫られて出かけたタイでミャンマー製のラタン製品と出会い、その精緻な編みと堅牢な作り、美しい仕上げに一目惚れ。日本の市場にいち早く紹介するとともに、2001年から東京世田谷に「THE SHOPHOUSE(ザ・ショップハウス)」という実店舗を構え、東南アジアはもとより欧州からも商品を取り寄せ東洋と西洋が一体となった空間を提案。東日本大震災をきっかけに12年間の店舗運営に区切りをつけ、普及し始めていたインターネットでの販売にシフトしつつ、ギフトショーやインテリアライフスタイル展、ホテル・レストランショーなど展示会への出展を経て卸売りは現在も続けている。
軍政下の時代からミャンマーには幾度も足を運ぶ。近年はコロナ禍とクーデター後の内戦状態が続くなか毎年のようにサイクロンや長雨による水害に見舞われ非常に厳しい国内状況が続いていますが、これからもミャンマーと関わり続け、この国の市井の人々の素晴らしい手仕事を一人でも多くの人に紹介していきたいと思っています。
THE SHOPHOUSE | ザ・ショップハウス