ラタンスタイルとは

今から20年前、私たちはバンコクの路地裏で偶然見つけたラタン製品を扱う小さなショールームの前で足を止めました。私たちはそのシンプルで洗練された美しさにたちまち魅了され、日本のインテリア市場にいち早く紹介しました。
ラタンスタイルの製品はヨーロッパのインテリア市場専門に製品を作るミャンマーのメーカーから直輸入しています。ラタン製品は大量生産される工業製品とは違い、ひとつひとつハンドメイドであるがゆえに同じ商品でも作り手の技術の習熟度によってその完成度にどうしても個体差が生じます。ラタンスタイルの製品は輸入後日本の市場に送り出される前に、日本人スタッフの厳しいチェックを経て、少しでも不備のあるものは更に手作業で加工され、必要に応じて修復されています。この時点でザ・ショップハウスを通じて輸入されたラタン製品は、ヨーロッパ市場向けのものよりも均質化された良質なラタンに姿を変えているといっても過言ではありません。
ラタンスタイルの製品はインテリアの和洋を問いません。それは私たちの製品がミャンマーという言わばアジアの中心に位置する国で作られながら、もともと西欧で求められたデザインのものを供給してきたからに他なりません。大航海時代に始まる西欧とアジアの出会い、その後の植民地支配という歴史の荒波のなかでラタンという素材は広く西欧に紹介され、その特徴を知り尽くした数多のデザイナーによって洗練されたデザインを与えられ人々の暮らしのなかに浸透していきました。英語やイタリア語ではラタンのことをマラッカ(malacca)と言いますが、それは東南アジア各地で産出されたラタンの多くが当時の海峡植民地であり中継貿易の拠点だったマレーシアのマラッカを経由してヨーロッパにもたらされたことによるものです。ステッキや傘の柄に使われるマラッカはラタンの最高級品として知られています。一方でラタンは日本では「籐」と呼ばれ、竹と同じく優れてアジア的な素材です。古くから籠など生活の道具を作るための素材として日本人の暮らしのなかに息づいてきました。ですからラタン製品が洋の東西を問わず広く世界中で使われているのはごく自然なことなのです。
東南アジアの各地から個性的なオブジェやアートを買い付け、ラタンとコーディネートしていくなかで、私たちは常に新しいスタイルを提案し続けてきました。皮革、シルバー、陶磁器、織物に至るまで、コーディネートのパートナーがどんな素材であっても、それらと合わせることで実用品としてのラタンの可能性もより一層広がりました。他の素材の価値を十分に引き立たせながら、それでいて無理のないカジュアルダウン、それがラタンスタイルです。まだまだ日本では「ラタン=夏」という固定観念が支配的ですが、西欧においてラタンは夏のインテリアに欠かせない素材であることはもちろん、冬は暖炉の周辺やヴェロアのひざ掛けと絶妙の組み合わせであることはインテリアのプロのみならず広く一般にも知られています。ラタンスタイルでは従来のイメージを払拭させるようなオールイヤーラウンドの新しいラタンを皆様にご紹介したいと考えています。