わたしたちがミャンマーからラタン製品を輸入し始めた90年代後半からずっと気になっていることは、品質が一定ではないということです。もちろん手工芸品である以上、製品の出来不出来はそれを作る職人の技量によるところが大きく、熟練の職人とそれ以外の職人が作る製品にはどうしても違いが生じます。その違いを最小化するために創業時に取り引きしていたメーカーから別のメーカーに仕入れ先を変える決断をしたこともありました。最初にミャンマーのラタン製品を見た時にその美しさに驚いたことが忘れられず、それは今日までわたしたちの品質のスタンダードになってきました。
今も年に一度は現地に足を運んで品質管理をしていますが、それでも品質について現地の職人たちとの問題意識の共有には限界を感じることがあります。一例を挙げると、現地では製品の表面のささくれなどを除去する最終工程において職人たちは「ミッキーナイフ(ボンナイフ)」を使います。昭和の時代には家庭内でもよく見かけた懐かしい折りたたみ式のカミソリですが、いかんせん刃先が大きく本来ならこうした細かな作業に向いているとは言えません。しかしながらミャンマーの女性たちは慣れた手つきでミッキーナイフを操ってささくれを取っていきます。ただ、やはり細かな部分には刃先が入っていかないのでどうしても大まかな作業になってしまいます。また刃先で誤って本体の編みを傷つけてしまうケースもあります。他の道具を使うことを勧めてみたこともありますが、使う本人たちにとってみれば自分が使い慣れ、そしてまた地元で安価に入手できる道具で行うのが一番ということでこちらも早々にあきらめざるをえませんでした。

そこでミャンマーの最終工程を経て入荷した製品に国内の工房でさらに手を入れてから出荷するようにしました。わたしたちが長年使っている道具は「模型用の薄刃ニッパー」です。これによってミャンマーの職人たちが取り残した細かなささくれを極力除去することができます。また製品の中には稀に隠し釘の先が露出していたりするのでこれを除去したり、表面の塗装の剥がれた部分を現地で使っているのと同じ塗料でタッチアップしたりする作業も並行して進めます。小さな製品なら1個あたりにかかる時間は15分から30分程度ですが、中程度の大きさの製品だと1〜2時間、大きな製品になると3時間から半日程度、場合によっては丸一日を要することもあります。またタッチアップした塗料の匂いが気にならなくなるまで数日間乾燥させなければならないこともあり、その分出荷まではどうしても一定の時間がかかってしまいますが、これによって製品の仕上がりの個体差を最小化し、その時点で常に最良の品をお届けすることを心がけています。

ラタンという素材の特性を熟知し、店舗設計やプロダクトデザインに精通したスタッフがラタンスタイルオリジナルのデザインを企画開発しています。ホテルや商業施設への製品供給やOEM(Original Equipment Manufacturing / 他社ブランド製造)の実績を重ねるなか、各施設に適したデザインがフィードバックされることでラタンスタイルの新製品開発にも寄与しています。
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