ラタン製品の製作風景
ヤンゴン(ラングーン)からハイウェイをクルマで4時間の場所にある通称「ラタン・ヴィレッジ」でのバスケットの製作風景です。若い男女が器用な手さばきでバスケットを編んでいきます。彼らは一年中バスケットを作って生計を立てているのではなく、基本的に農業に従事しています。ミャンマーは稲作に適した亜熱帯の気候風土ゆえに農閑期も多く、その時間を使ってバスケットを製作しています。彼らはそうして得た副収入によって生計を立てています。
とはいえ彼らがこの報酬で何か特別な贅沢をしたり、物質的な豊かさを享受するといったことはほとんどありません。彼らが受け取る報酬はまず村のリーダーに渡され、リーダーが一旦プールした現金は、住民がそれを必要とした時に初めて渡され、彼らはそのほとんどを自分の村や近郊の寺に寄進したりします。そのお金は寺を通して周囲の複数の村に行き渡り、同様に他の村から寄進されたお金で自分たちの宴が催されるといった相互扶助による社会が今も変わらぬ姿をとどめています。
ヴィレッジでは彼らが暮らす家屋の他に別の建屋として工房があったり、2階建ての家屋の1階部分が工房になっていたりとその在り方は様々です。こうした工房はヴィレッジの中に数多く点在しており、ヴィレッジ内の製作を取りまとめている担当者が製作指示書を持って各工房を回りながら製作状況をモニタリングしています。稲作を生業とする彼らにとって都会のようにスケジュールが固定化したパートタイム勤務は不可能であり、こうすることで広いヴィレッジの中で一箇所に集まって集約的に作業を進める必要がなくなり、手が空いた時間を効率的にラタン製品の製作に充てることができます。
職人のほとんどは言語化された指示書をもとに製品を作るので、私たちがデザインした図面も文章化された製作指示書として彼らの元に届きますが、図面やスケッチは彼らの理解の大きな助けとなります。
ヤンゴンのファクトリーでの最終仕上げの工程。ファクトリーではラタンヴィレッジから集荷されてきた製品にラッカーによる塗装を施します。塗装を終え乾燥させたあと、表面にどうしても残ってしまう細かなささくれをひとつひとつ手作業で除去していきます。ラタン・ヴィレッジのあるエーヤワディ(イラワジ)デルタの農村部とは異なり、大都市ヤンゴンにあるファクトリーではフルタイム勤務の職人たちが集約的に作業を行っています。